姫路 黒桟革

革に、漆。鎧に生まれ、時に耐える。

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THE HIDE / 原皮

姫路・兵庫

原皮は黒毛和牛。鞣すのは、姫路。

すべての原皮は、国内で育てられた黒毛和牛のもの。
輸入も、混合もしない。単一の原皮だけが与える、
質の均一のための選択である。

姫路は、城の時代から革を鞣してきた。
市川の水。この地の気候。何代も留まりつづけた手。
この国で原皮が革になる場所は、ここにある。

届いた原皮には、傷がある。虫の刺し跡がある。
一頭が生きた記録である。仕事は、そこから始まる。

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THE HANDS / 手揉み

手で、揉む

剣道の世界で最上とされる革は、
機械が触れていない革である。

シボは、型で押すものではない。
人の手で揉み、面がひとりでに凹凸を結ぶまで、
時間をかけて起こしていく。

近道はなく、型紙もない。
同じ手つきで揉んだ二枚が、同じ表情になることはない。
はじまりの一枚が、そもそも同じではないからである。

この工程が、漆を可能にする。
シボがなければ、漆の置き場所がない。

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THE LACQUER / 漆

漆を、重ねる

漆は曲がらない。革は曲がることしかしない。

乾いた漆は硬く、撓む前に割れる。
革は撓むことしかできない。
両者を結ぶことは、本来できないはずだった。

答えは、シボにある。
漆は、起こした凸の部分にのみ置かれる。
革が動くとき、力は凹へ逃げていく。
その上の艶だけが、損なわれずに残る。

塗り、ムロで乾かし、また塗る。
仕上がりを決めるのは工程表ではなく、革である。
一枚に、幾週間。
この工程を急がせる方法は、存在しない。